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LT_RC 2026年4月最強構成: VIX Hard-Off撤廃 + Regime 35/45

12シナリオ Fargate Sweep 確定: TW +59%, MaxDD -31pt vs 旧構成

VIX hard-off を完全撤廃し、Regime閾値を 35/45 に引き上げた新構成。 7年 ORATS BT (2019-2026, 初期資金 $8,000): TW $200.6M, WR 89.8%, MaxDD 18.8%。 旧構成 (hard-off=25): TW \(126.2M, DD 50.2% → **全指標で圧倒的に改善**。 LT_RC 実運用は初期資金 **\)4,135** (Saxo N121829口座)。

核心的洞察: VIX高騰期は「危機」ではなく「収穫期」

Put Credit Spread にとって、VIX 上昇 = プレミアム膨張 = 高WR。 hard-off=25 はこの最も美味しい収益機会を丸ごと捨てていた。


戦略の変更点

旧構成 → 新構成

パラメータ 旧値 新値 変更理由
VIX Hard-Off 25 999 (OFF) 高VIX期のエントリー禁止を撤廃。sweep全12シナリオでOFFが最強
Regime vix_caution 25 35 CAUTION発動を遅らせ、VIX 25-35帯での通常エントリーを許可
Regime vix_crisis 35 45 CRISIS発動をVIX 45+に限定。VIX 35-45はCAUTIONで対応

変更しないパラメータ

パラメータ 理由
CR 0.35 7年 sweep で最適値確認済み。LDAS BT検証でもボトルネックはSaxo pricing
TP 0.38 ORATS sweep WR重視の最適値
DTE 10-60 sweep #1 は DTE60 だが、LT_RC は min_dte=10 で短DTEも取る構成
Per-trade Risk 4% 小口座フル投下方針に変更なし
Risk Cap 24% 4% × 6枠
GFF ON (5日) ストレスBTで必須性を確認済み。OFF だと全損
SL 80% 変更なし

なぜ VIX Hard-Off を撤廃するのか

Put Credit Spread と VIX の関係

BeatShield (Put Credit Spread) は「株価が大幅に下落しなければ利益」という構造を持つ。VIX が上昇すると:

  1. オプションプレミアムが膨張 → スプレッドのクレジット(受取金額)が増加
  2. CR (Credit Ratio) が改善 → 本来なら CR フィルタで棄却される銘柄もエントリー可能に
  3. 実質的に「保険料が高い時に保険を売る」状態 → WR が向上

VIX hard-off=25 は「VIX が 25 を超えたらBeatShieldのエントリーを全面禁止」するロジック。これは高プレミアム期の全収益機会を放棄する行為だった。

Sweep が証明したこと

VIX Hard-Off トレード数 禁止期間のトレード WR TW MaxDD
OFF (999) 11,457 89.8% $200.6M 18.8%
30 8,819 2,638 件の機会損失 87.7% $141.3M 40.1%
25 (旧) 8,108 3,349 件の機会損失 87.1% $126.2M 50.2%
  • hard-off OFF で 3,349件の追加トレード が発生(VIX 25+ 期間のエントリー)
  • これらの追加トレードの WR は高い(全体WR を 87.1% → 89.8% に押し上げ)
  • DD は悪化するどころか改善 — 18.8% vs 50.2%

なぜ DD が改善するのか(直感に反する結果)

VIX hard-off=25 で DD が悪化する理由:

  1. エントリー停止 → 収益ゼロ、だが既存ポジションは保持 → VIX急騰で既存ポジションが含み損を抱えても、新規収益がゼロなので回復が遅い
  2. VIX 下落後の復帰タイミング問題 → VIX が 25 を下回ってもすぐには高CR銘柄が出ないため、回復にラグ
  3. OFF の場合はVIX 25-35帯で高CRエントリー → 含み損を相殺するキャッシュフローが継続
  4. 複利効果の差 → エントリー停止期間が長いほど複利の base が伸びない → 長期TW差が拡大

Regime 閾値の変更

旧 Regime 25/35 → 新 Regime 35/45

VIX 帯 旧 Regime 新 Regime BeatShield の動作
0-25 NORMAL NORMAL 通常エントリー。base YAML パラメータ
25-35 CAUTION NORMAL ← 旧構成ではCR緩和等が発動していたが、新構成では通常動作
35-45 CRISIS CAUTION ← CR 緩和 (0.35→0.30) でエントリー機会を確保
45+ CRISIS CRISIS 防御的パラメータ。exposure 倍率 2.0x

Regime 35/45 の狙い: VIX 25-35 帯は「やや不安定だが Put Credit Spread には好環境」。ここで CAUTION を発動させるのは過保護。VIX 35+ で初めて CAUTION に移行し、VIX 45+ で CRISIS とする。

Sweep 結果: Regime の影響

構成 Regime TW MaxDD 差分
OFF+DTE60 35/45 $200.6M 18.8% baseline
OFF+DTE60 25/35 $188.9M 21.5% TW -$12M, DD +3pt

Regime 35/45 は 25/35 より TW が $12M 高く、DD も 3pt 低い。VIX 25-35 帯で NORMAL のまま通常エントリーを続ける方が収益・DD ともに優れる。


防御メカニズム(変更なし)

VIX hard-off を撤廃しても、以下の防御層は全て維持:

防御層 機能 発動条件
GFF (Gamma Flip Filter) bearish gamma flip 後 5日間エントリーブロック gamma exposure が bearish に反転
DD Force Close DD 閾値で全ポジション強制クローズ dd_caution / dd_crisis
VIX Stop (vix_stop_threshold) VIX が閾値超で全ポジション強制決済 base.yaml: VIX ≥ 30
CR Gate 低品質スプレッドの自動棄却 CR < 0.35
Risk Cap ポジション集中リスクの制限 4% × 6枠 = 24%
SL 80% 個別ポジションの損切り 含み損 ≥ 80%

VIX Stop (30) は維持

VIX hard-off(エントリー禁止)と VIX Stop(既存ポジション強制決済)は別のメカニズム。 hard-off を撤廃しても、VIX ≥ 30 で既存ポジションを強制クローズする VIX Stop は引き続き有効。 COVID 級 (VIX 82+) の壊滅的局面からの生存を担保する。


12シナリオ Sweep 全結果

2026-04-05 実施。Fargate 上で 7年 ORATS 全銘柄 BT。初期資金 $8,000、固定パラメータ: CR=0.35, TP=0.38, SFR=0.99、月次出金30%。

# VIX_OFF Regime DTE Trades WR TW MaxDD
1 OFF 35/45 60 11,457 89.8% $200.6M 18.8%
2 OFF 25/35 60 11,645 89.5% $188.9M 21.5%
3 OFF 35/45 30 9,250 88.1% $161.2M 20.4%
4 OFF 25/35 30 9,637 87.8% $153.6M 17.7%
5 30 35/45 60 8,819 87.7% $141.3M 40.1%
6 30 25/35 60 8,850 87.5% $139.1M 44.6%
7 25 25/35 60 8,108 87.1% $126.2M 50.2% ← 旧
8 25 35/45 60 8,108 87.1% $126.2M 50.2%
9 30 35/45 30 6,908 85.6% $109.3M 19.2%
10 30 25/35 30 6,990 85.6% $108.5M 23.7%
11 25 25/35 30 6,319 84.8% $97.1M 24.6%
12 25 35/45 30 6,319 84.8% $97.1M 24.6%

hard-off=25 では Regime の差がゼロ

7=#8, #11=#12。VIX > 25 で全エントリー禁止されるため、Regime 閾値の差が意味をなさない。

hard-off 撤廃により、初めて Regime チューニングが効果を発揮する。


YAML 構成

# lt_rc.yaml — 2026-04-05 Sweep #1 構成
# 実運用: Saxo N121829口座, 初期資金 $4,135
# Sweep BT: 初期資金 $8,000, 月次出金30%
initial_capital: 4135.0

strategy:
  max_dte: 60
  min_credit_ratio: 0.35
  profit_take_pct: 0.38
  per_trade_risk_pct: 0.04
  strategy_risk_cap_pct: 0.24
  vix_hard_off_threshold: 999.0  # OFF

capital_scaling:
  base_capital: 3371.0  # スケーリング基準
  max_positions_cap: 200
  cap_dynamic: true      # $3.3K→6本, $10K→18本, $32K→57本

regime:
  vix_caution: 35.0   # 旧25 → 35
  vix_crisis: 45.0     # 旧35 → 45

ストレスBT検証: 高VIX期間の実データ検証

ORATS実データから高VIX期間を5つ抽出し、Sweep #1構成で個別BTを実施。初期資金 $8,000、全銘柄。

全5期間で生存 + 大幅プラス — 「高VIX = 収穫期」を実証

COVID(VIX 82.7)ですら DD 20.5% で生存し、WR 91.3%。 合成ストレスデータではなくORATS実データでの検証。

期間 VIX Peak 日数 Trades WR TW Return MaxDD
COVID Crash (2020-01〜06) 82.7 125 564 91.3% $345,824 +4,223% 20.5%
2022 Bear H1 (2022-01〜06) 36.5 126 530 84.5% $279,304 +3,391% 17.6%
2022 Bear H2 (2022-07〜12) 33.6 130 586 87.2% $1,474,511 +18,331% 18.5%
Aug 2024 Flash (2024-07〜10) 38.6 89 380 94.5% $119,475 +1,393% 27.4%
2025 Tariff Shock (2025-03〜06) 52.3 85 345 92.2% $79,151 +889% 11.8%

読み取れること

  1. COVID(VIX 82.7)でも壊滅しない — DD 20.5% で生存。VIX hard-off OFF でも VIX Stop (30) + GFF が防御層として機能
  2. 高VIX期ほど WR が高い — COVID 91.3%, Flash 94.5%, Tariff 92.2%。プレミアム膨張の恩恵が数字に出ている
  3. MaxDD は全期間 27.4% 以下 — 7年通しの 18.8% より大きいが、数ヶ月の局所期間としては十分に制御されている
  4. 2022 Bear Market 通年でも安定 — H1: DD 17.6%, H2: DD 18.5%。持続的な下落相場でも崩れない
  5. 2025 Tariff Shock が最安定 — DD 11.8%。直近の VIX 52 級イベントで最も低い DD

防御層の機能分析

イベント VIX Stop (30) GFF Regime CAUTION (35+) Regime CRISIS (45+)
COVID (VIX 82) 発動 → 既存pos強制決済 発動 → 新規entry 5日停止 発動 発動
2022 Bear (VIX 36) 発動 随時発動 発動 未発動
Aug 2024 Flash (VIX 38) 発動 発動 発動 未発動
2025 Tariff (VIX 52) 発動 発動 発動 発動

VIX hard-off を撤廃しても、VIX Stop + GFF + Regime の3層防御が高VIX期の DD を 27% 以下に抑えている。hard-off は「4層目の冗長な防御」であり、そのコスト(収益機会の喪失)に見合わなかった。


低ボラ期間ストレスBT: プレミアム薄環境での収益性検証

ORATS実データから低ボラ持続期間を5つ抽出し、Sweep #1構成で個別BTを実施。初期資金 $8,000、全銘柄。

全5期間で生存 + プラス — 低ボラ期はWR上昇・DD低下

VIX 9-14の環境でもCR=0.35でエントリーが成立し、WR 91-100%で安定。 高VIXストレスBT(avg WR=90.7%, DD=19.4%)より良好な数値。

期間 VIX avg 日数 Trades WR TW Return MaxDD
2017 Ultra-Low (2017-01〜07) 11.0 ~125 358 96.4% $391,635 +4,795% 18.1%
2014 Goldilocks (2014-03〜09) 13.2 ~147 417 96.4% $647,755 +7,997% 19.3%
2023-24 Recent Calm (2023-11〜2024-03) 13.6 ~104 449 91.1% $248,092 +3,001% 19.1%
2013 Recovery (2013-01〜05) 13.6 ~104 69 100.0% $14,698 +84% 6.6%
2018 Post-Volmageddon (2018-05〜09) 13.3 ~106 288 97.9% $104,636 +1,208% 16.6%

読み取れること

  1. 低ボラでもCR=0.35でエントリーは成立する — 2017 VIX=11でも358取引(月60本ペース)。プレミアム薄でも銘柄分散で十分なエントリー機会を確保
  2. WRは低ボラ期の方が高い — avg 96.4% vs 高VIX avg 90.7%。スプレッドがITMに到達するリスクが低い
  3. DDは低ボラ期の方が低い — avg 15.9% vs 高VIX avg 19.4%。急激な相場変動がないため
  4. 2013 Recoveryは69取引のみ — ORATSデータのoption chain coverage が2013年初は限定的(銘柄数が少ない)。戦略の問題ではなくデータの制約
  5. 全環境で生存 — 高VIX/低VIXを問わず、Sweep #1構成は全期間で壊れない

高VIX vs 低VIX 比較

環境 avg WR avg MaxDD avg Trades/期間 特徴
高VIX (5期間) 90.7% 19.4% 473 プレミアム膨張→利益大、DD大
低VIX (5期間) 96.4% 15.9% 316 スプレッド安定→WR高、DD低

結論: BeatShield put credit spread戦略はVIX環境に依存しない。高VIX期は利益が大きくDDも大きい(ハイリスク・ハイリターン)、低VIX期は利益が控えめだがWR/DDが安定(ローリスク・安定リターン)。


BT と LIVE の間に残るギャップ(注記事項)

BTの数値がそのままLIVEで再現されるとは限らない

10期間のストレスBTで「全環境で壊れない」ことは実証した。 しかし BT ≠ LIVE であり、以下のギャップを認識した上で運用する。

1. BT mid ≠ Saxo bid — 最大の既知リスク

  • BTはPolygon mid pricing(bid-ask中間値)で約定
  • LIVEはSaxo multileg combo bid pricing(マーケットメイカー提示価格)で約定
  • 平均CR乖離 = 0.269 — BTでCR=0.35を通過する取引の相当数がLIVEでは棄却される
  • LT_RC の実エントリー数が少ない主因がこの構造的乖離(Polygon mid vs Saxo bid)
  • エントリーが絞られる分DDは改善する可能性があるが、TWは大幅に下がるかもしれない
  • 対応: LIVE実約定データを蓄積し、BTとのWR/DD乖離を定量化する

2. 相関ブローアップ — 分散の幻想

  • put credit spread 50銘柄が全部同時にITM化するシナリオ
  • COVID(VIX 82)でDD=20.5%で生存したが、1987 Black Monday(1日で-22%)級はORATS期間外
  • 現代は回路遮断器(サーキットブレーカー)があるため完全な再現は考えにくい
  • 対応: DD 25%で新規エントリー停止(DD force close実装済み)

3. 流動性消失 — パニック時のエグジット不能

  • 本当のパニック時にbid-ask widthが300%超に拡大
  • BTデータはこの瞬間の最悪値を反映していない可能性
  • max_bid_ask_width_pct: 0.40 フィルタがエントリー時は守るが、既存ポジションのエグジット時は無防備
  • 対応: VIX Stop (30) による既存ポジション強制決済が最終防御層

4. 0DTE 構造変化 — 過去と異なる市場力学

  • 2023年以降、0DTE options市場が急成長
  • マーケットメイカーのヘッジ行動が変わり、put credit spreadの収益構造が過去と異なる可能性
  • まだ定量化できない — LIVE運用で経年データを蓄積して初めて判明する
  • 対応: 四半期ごとにLIVE WR/DDを7yr BT期待値と比較し、乖離を監視

5. 資金管理 — 再起資金の確保

  • 口座の何%をAEGISに回すかの上限を事前に決定する(全額投入は禁止)
  • 資金が一定規模に育ったら利益の一部をT-bill/MMFに定期的に退避
  • monthly_withdrawal_rate: 0.30 がBTでこのシミュレーションを行っている(30%/月の出金)
  • 9.11級のテールイベントに対する最終手段は早期にT-billへ再起資金を逃がすこと
  • BTで検証できるリスクは全て検証した。残るテールリスクは「再起できる資金を口座外に持つ」ことで対処

今後の検証課題

  1. LIVE 実約定データの蓄積: BTとLIVEのWR/DD乖離を定量化する。最低3ヶ月の実データが必要
  2. VIX 35-45 帯の Regime CAUTION 挙動: CR 緩和 (0.35→0.30) が高VIX期に適切に機能するか monitoring
  3. DD Force Close との相互作用: hard-off 撤廃で VIX 急騰時の DD パスが変わる。DD force close の閾値が適切か継続監視
  4. 四半期レビュー: LIVE WR/DDと7yr BT期待値(WR=89.8%, DD=18.8%)の乖離を四半期ごとに評価

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