2階建てアーキテクチャ: BeatShield + LEAPS¶
設計思想
資本が成長するにつれて、戦略エンジンを段階的に 追加 するアーキテクチャ。 1階(BeatShield + Spear + CrisisAlpha)は 常に稼働し続ける。 資本が「流動性の壁」に近づいた時点で、事前に計画された形で 2階(LEAPS)を上乗せ起動する。
重要: 1階は止まらない
E(切替点)到達後もBeatShield・Spear・CrisisAlphaは継続して動く。 2階(LEAPS/PMCC)は「余剰資本の受け皿」として追加されるのであり、 1階との *入れ替えではなく、追加** である。
概念図¶
資本配分
↑
│ ┌──────────────────┐
│ Floor 2 (LEAPS/PMCC) │ │
│ SPY/QQQ/AAPL等 │ Floor 2 拡大中 │
│ Equity壁なし・無限スケール │ │
E*├ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─┤ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─│─
│ Floor 1 (BeatShield │ Floor 1 継続 │
│ + Spear │ (上限まで維持) │
│ + CrisisAlpha) │ │
$13K────────────────────────────────────┴──────────────────┴──→ 時間
Phase 1: Floor 1のみ Phase 2〜3: 両Floor同時稼働
E*は切替点ではなく「Floor 2追加開始点」。1階は上限まで稼働し続ける。
Floor 1: BeatShield + Spear + CrisisAlpha (低流動性プレミアム)¶
Floor 1は常に稼働
LEAPSが動き始めた後も、BeatShield・SunacchanSpear・CrisisAlphaには 一定のEquityを投入して 動き続ける。2階が増えても1階は廃止しない。
特性¶
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 個別株 Put Credit Spread (低~中流動性) |
| 戦略 | XW_CR25_M98 / XV_C30_S30_H28 等 |
| エッジの源泉 | 流動性プレミアム + IV skew + イベント後過剰VRP |
| 稼働期間 | 永続 (流動性の壁到達後も、容量上限内で継続) |
| 実証CAGR | $13K: 1,754%/yr, $100K: 688%/yr, $500K: 70%/yr (No-filter) |
R_BS(E): 資本依存リターン関数¶
実測データ(SPREAD約定モデル, No-filter, 25ヶ月BT)からのべき乗フィット:
R_BS(E) ≈ 1,754% × (E / 13,000)^(-0.72)
E=$13K → CAGR ≈ 1,754%/yr
E=$100K → CAGR ≈ 688%/yr
E=$500K → CAGR ≈ 70%/yr
E=$1M → CAGR ≈ 30%/yr (推定)
E=$2M → CAGR ≈ 13%/yr (推定)
減衰の原因
減衰はスプレッドやスリッページではなく、主に APASのmax_positions上限による。 $13Kで30ポジション上限に達すると、それ以上の資本は遊ぶ。 現在の設定は適切かどうか継続検証が必要。
Floor 2: LEAPS/PMCC (無制限スケール)¶
特性¶
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | SPY/QQQ/AAPL 等の超流動性銘柄の長期オプション |
| 戦略 | LEAPS買い / Poor Man's Covered Call (PMCC) |
| エッジの源泉 | VRP期間構造プレミアム + 長期IV underpricing |
| Equity壁 | 実質なし ※下記参照 |
| 期待CAGR | 15〜25%/yr (推定) |
なぜLEAPSにはEquity壁がないのか?¶
SPY OI (1契約=100株):
ATMストライク: 50,000〜100,000契約/ストライク
OTMストライク: 10,000〜50,000契約/ストライク
1契約≒$30K相当 → OI $1,000M〜$5,000M/ストライク
比較: $1M の LEAPS投資
= 33〜50契約 (LEAPS at ~$300/contract)
= SPY OIの0.1〜0.3% ← 全く問題にならない
Floor 1の低流動性銘柄(vol=50〜500/日)とは桁が違う。市場インパクトゼロで$10M+を吸収できる。
Floor 2の期待収益 R_PMCC¶
LEAPS+PMCCの収益源: - VRP: 実現VをIV(長期)が上回る分の収穫 - Theta decay: PMCC上の短期オプション売り - Delta exposure: 株式市場の長期上昇に乗る
E*: 最適切替点(動的閾値)¶
数理的定義¶
No-filterデータから:
# R_BS(E) = 1.754 × (E/13000)^(-0.72) [倍率/yr]
# R_PMCC ≈ 0.20
# E*の推定:
# 0.20 = 1.754 × (E*/13000)^(-0.72)
# → E* ≈ $800K〜$1.2M
重要な注意¶
E*は固定値ではない
- $500Kはあくまで仮の参考値
- 実際のE*はAPAS設定・銘柄ユニバース・市場環境により変動
- 流動性の壁は実測によって動的に発見される
移行メカニズム: なぜ「事前計画」が重要か¶
問題: リアクティブ移行の失敗パターン¶
❌ 悪いシナリオ:
E = $400K → BTが失敗し始める → 「なぜ注文が通らないんだろう?」
→ 様子を眺めながら損失が続く
→ ようやくLEAPSへの切替を検討
→ さらに数週間の移行準備
→ 数ヶ月のアルファ空白期間
解決: プロアクティブ移行¶
✅ 正しいシナリオ:
E = $100K → fill_rate監視開始(ベースライン確立)
E = $300K → fill_rateが低下トレンドを示す
E = $400K → 閾値超過 → Floor 2投入自動開始 (E×20% = $80K分)
E = $500K → Floor 2比率を自動増加 (E×40% = $200K分)
E* 到達 → Floor 1/2 同時稼働のフル移行完了
トリガー指標 (実装候補)¶
| 指標 | 説明 | 閾値例 |
|---|---|---|
| fill_rate | 当日エントリー成功数 / エントリー試行数 | < 0.7 が3日連続 |
| slippage_ratio | 実約定 vs MID価格の乖離 | > 15% が1週間平均 |
| APAS_utilization | max_positions到達頻度 | > 90% が5日連続 |
| R_BS_rolling | 直近30日のローリングCAGR | < 50%/yr |
実装論¶
Phase 1: 現在 ($13K 〜 E*検知前)¶
状態: Floor 1 のみ稼働
├─ BeatShield (XW_CR25_M98): メイン戦略
├─ SunacchanSpear: 補助戦略 (日足BTでは未発火・PT検証中)
└─ CrisisAlpha: テールリスクヘッジ
設定: SPREAD約定モデル, No-filter
監視: fill_rate / slippage_ratio の日次記録開始
目標: E*への到達時点で即座にFloor 2を投入できる準備
Phase 2: 移行期 (fill_rateの劣化検知〜E*)¶
状態: Floor 1 継続 + Floor 2 追加開始
├─ Floor 1: 全戦略継続 (BeatShield + Spear + CrisisAlpha)
└─ Floor 2: 新規追加
Floor 2資本 = E × α (α: 移行係数)
α = fill_rate劣化度に応じて 0 → 0.4 に線形増加
監視: 両Floorのリターン比較 → E*の実測値確定
Phase 3: E*到達後(フル2階建て)¶
状態: Floor 1 + Floor 2 完全同時稼働
├─ Floor 1: 容量上限まで維持 (BeatShield + Spear + CrisisAlpha 継続)
│ ※流動性の壁を超えたポジションは自然に減少していくが
│ 戦略自体は廃止しない
└─ Floor 2: 残余資本全額を吸収
戦略: LEAPS買い + PMCC (short callを毎月ロール)
対象: SPY/QQQ/AAPL (超高流動性)
なぜFloor 1を維持するのか
流動性の壁は「全ての機会が消える」のではなく「機会が減る」だけ。 $500K超になっても、BeatShieldが見つけられる高品質な機会は依然として存在する。 その分は引き続き稼ぎ続け、余剰資本のみLEAPSに回すのが最も効率的。
現状のAPAS設定に関する考察¶
現在の XW_CR25_M98 のAPAS設定:
| パラメータ | 現在値 | 考察 |
|---|---|---|
max_positions |
30 | 過剰に制限的の可能性: $13Kで上限到達 → 超過資本が遊ぶ |
capital_scaling_power |
0.5 (sqrt) | 資本に対して保守的なスケーリング |
capital_scaling_base |
$13,000 | 現在の運用資本と一致 |
APAS制限の見直し
No-filterでも\(100K→\)500Kで90%のCAGR減衰が観測される。 これはAPASのmax_positionsキャップが$30K付近でbinding constraintになっているため。 資本スケールに応じたmax_positionsの再設定が有望な改善方向。
関連データ¶
- 実測R_BS(E)マトリックス:
AEGIS/reports/capital_scaling_rbs_analysis_20260225.md(GHP未掲載) - BT基準戦略: XW_CR25_M98
- APAS v3アーキテクチャ:
core/apas_v3.py
最終更新: 2026-02-25 | branch: feat/pr-rate-filter